■比抵抗二次元探査及び比抵抗トモグラフィー (1)概要 比抵抗二次元探査は地表において多数の電位データを測定し、そのデータに基づいて地下の真の比抵 抗分 布を求めようとするものであります。測定はポール・ポール法(二極法)またはダイポール・ダイポール 法により 行ないますが、前者は構造探査に、後者は鉱床や空洞等の地下の不均質性を探査するのに優れ ています。 比抵抗トモグラフィーは2本のボーリング孔間の間で通電と電位の測定を行ない、得られた多数のデータ に基 づいてボーリング孔間の比抵抗分布をくわしく調べようとするものであります。 (2)電極の幾何学的配置 図-4にポール・ポール法の電極配置とデータ分布のイメージを示します。ポール・ポール法は、電流電極 と 電位電極のそれぞれ1つを無限遠に設置し、他の2つの電極を移動しながら測定します。 まず電流電極を1点に固定し、電位電極を一定の電極間隔(1〜20m)で移動します。電流電極と電位電 極 の最大距離は探査深度によりますが、探査深度の1〜2倍程度にとることが望ましいとされています。 次に 電流電極を次の測点に移動し同様の測定を行ないます。ダイポール・ダイポール法の場合は電流電 極と電 位電極をそれぞれペアーとして、ポール・ポール法同様の測定を行ないます。 比抵抗トモグラフィーの場合には、図-5に示すように2本のボーリング孔のうち1孔を電流源孔、他を電位 測定孔とします。1つの電流電極に対してすべての電位電極で電位の測定を行ないます。電極間隔は通常 1〜5mとします。 (3)解析方法 解析は前進問題と逆問題より構成されますが、前者には有限要素法(羽竜、1996)を用い、後者には 拡張ベイズ法(羽竜、1997a、1997b、1998)を採用します。本方法はまず比抵抗分布の初期値を与え、 そ れより計算される電位と測定電位の差(残差)に関して初期値を補正し、その補正値に対しても同様の 計 算を行ない、その残差にある収束判定基準を満たすまで反復計算を行なうものであります。 本技術に対して平成12年度物理探査学会学会賞を受賞しております。 (4)実施例 図-6は比抵抗二次元探査による結晶片岩地帯における探査例であります。図の右側には断層破砕帯に 伴う 高角度の低比抵抗帯が認められます。 図-7はあるダムサイトにおける比抵抗トモグラフィーの実施例であります。当地点の地質は花崗閃緑岩が 広 く分布し、その上部は風化マサ化しております。図のトモグラムは断層破砕層を伴って、風化部の(低比 抵抗層) の形状が複雑に変化し、また表層部の含水比(不飽和度)の変化による比抵抗値の変化も読み 取れます。 |